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2010年2月19日 (金)

[私立中高一貫生の冬の活躍]桐蔭学園高はラグビー、東京成徳大学高は女子バスケットで全国準優勝!

冬の寒さも吹き飛ばすかのような、熱い戦いが見られる高校スポーツの全国大会。この冬も12月から1月にかけて、そうした各大会が行われた。

12>月27日から1月7日にかけて、大阪の近鉄花園ラグビー場で行われた第89回「全国高校ラグビー大会」では、東福岡(福岡)が全国制覇。桐蔭学園(神奈川)は決勝まで進出したが、惜しくも決勝で涙を飲んだ。名門・国学院大学久我山は、今回はベスト16に。

12月23日から29日まで東京体育館で開催された、第40回「全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会(ウィンターカップ2009)」では、男子は明成(宮城)が初優勝。読者の皆さんにも馴染みのある私立中高一貫校では、福岡大学附属大濠(福岡)が第3位。東海大学付属相模(神奈川)、京北(東京)がベスト8まで進出した。

女子では、決勝は何と3年連続となった桜花学園(愛知)と東京成徳大学(東京)との宿命のライバル対決。この両雄決戦を桜花学園が制し、3年連続17回目の全国優勝を勝ち取った。このほか私立中高一貫校では、星城(愛知)がベスト8に進出。本誌12月号でも紹介した八雲学園(東京)もベスト16と大健闘。ほかに実践学園(東京)、昭和学院(千葉)、埼玉栄(埼玉)、などの私立中高一貫校が、ベスト16まで進出している。

12月30日から1月11日まで東京で行われた第88回「全国高校サッカー選手権大会」では、山梨学院(山梨)が強豪・青森山田(青森)を1対0で下して初優勝。快進撃を続け、準決勝では青森山田との2点差をロスタイムで追いつき、惜しくもPK戦で敗れた関西大学第一(大阪)は第3位となった。帝京(東京)、武相(神奈川)も善戦したが、今回はともに1回戦で涙を飲んだ。

しかし、今回の高校サッカー全国選手権大会では、終了後の大会総評でも、「中高一貫校の躍進」に焦点が当てられた。準優勝した青森山田や、ベスト8に進出したルーテル学院(熊本)がその典型といわれ、やはりベスト8の神村学園(鹿児島)も注目された。とくに青森山田の決勝の先発メンバー11人中、5人が青森山田中の出身。中学生の指導もする同校の黒田監督は「6年間で青森山田のサッカーを教えられる」と、その効用を語ったという

そういえば、先に触れた桐蔭学園高ラグビー部にも、中高一貫生でがんばっている選手は毎年多いと聞く。

また、東京成徳大学高の女子バスケットボール部の主力は、毎年多くが東京成徳大学中から進学した中高一貫生。チームゲームの球技で高校日本一を競うような種目の強豪チームのなかでも、この一貫生の活躍ぶりは見事というほかない。男子のバスケットでも京北(東京)が、ほかの競技では女子のバレーボールで共栄学園(東京)や文京学院大学(東京)が、やはり中高一貫の指導体制のもとで全国レベルの活躍を見せているが、こうした中高一貫体制での私学のスポーツの活躍は、学内に活気をもたらし、他の生徒にとっても励みになることだろう。

そういえば、毎年3月に代々木体育館で行われる「春の高校バレー」に向けて、1月16日に行われたバレーボールの東京都代表決定戦では、昨年夏に中学が全国制覇を果たした共栄学園が、高校でも都大会を制覇し、東京第一代表として、この「春高バレー」に挑む。

ほかにも、各種のスポーツで“冬の活躍”を見せた私立中高一貫校は全国に少なくないだろう。まさにいま、この2010年入試に挑む中学受験生にも、こうした先輩たちのがんばりを励みにしてほしいと思う。

【初出:NettyLandかわら版2010年2月号】
(北 一成)

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写真は、昨年度の第87回「全国高校サッカー選手権大会」に東京代表として出場し、ベスト8まで進出して話題を呼んだ国学院大学久我山(白のユニフォーム)と同校の大応援団。

クラブ活動を勧める理由 高校受験がない中高一貫校だからこそ、その環境を生かしたい。

6年間一貫教育の私学をめざす中学受験生と保護者に向けて、毎年お願いすることがある。それは、中学受験を終えて、入学が決まった各自の中高一貫校に進学したときには、何よりも「好きなクラブ活動を探して、それに打ち込んでほしい」ということだ。

受験までの期間、中学受験に挑むために、進学塾をはじめ、それぞれ何らかの形で受験勉強に励み、目標達成のためにがんばってきた12歳の少年・少女たちが、人生で最も多感な、成長の著しいこの時期に、ひとつのハードルを超えたからには、次に自分自身が打ち込めることを見つけることが、それからの大きな活力になるからだ。

何度も言い尽くされてきたことかもしれないが、中高一貫校では、3年刻みで高校受験がないことによる「時間的ゆとり」を生かして、自分のやりたいことに集中できるメリットがある。

保護者の立場からすると、中学に入学してからすぐに、「学校の勉強についていけるかしら?」とか、「学校以外にも、塾に通って勉強させたほうがいいのでは?」といった心配が先に立つという気持ちも十分にわかる。

しかし、中学入学後に何より大切なことは、まず「進学した学校に馴染み、良い友達をつくり、毎日楽しく学校に通えることができるようになること」に尽きる。そこで、自分の好きなことと、それについて語り合い、一緒に過ごせる仲間ができることが、何よりも、中高生活の支えとなる。

そうして見つけたクラブ活動が楽しくなれば、毎日、学校に通う励みや楽しみになる。そこには、各クラブで共通する目標を抱いた友だちが、いつも一緒にいてくれる。

それは何もスポーツである必要はない。運動部でも文化部でも、あるいは同好会でも何でもいい。その活動が好きな仲間がいて、そこに自分の居場所を見つけることができれば、きっと楽しい中高6年間になることだろう。

わが子可愛いさのあまりに、先回りして保護者が心配し、あれこれ口出しする必要はない。子どもたちはすでに、自分たちのなかに、自立心や自制心、共生心を芽生えさせている。それが学校生活のなかで、とくにクラブ活動という場のなかで、大きく育っていくことは間違いないからだ。

ときには、仲間との確執やぶつかり合いがあり、挫折や傷つくことを体験することもある。しかし、だからこそ、私立中高一貫校のほとんどの先生方は、クラブ活動を奨励する。そうした体験のなかで成長し、得られることの価値は、ほかの何物にも替えられない。

ふだんの勉強や、大学受験対策についても心配ない。忙しくクラブ活動に打ち込むことで、上手な時間の使い方や、集中力、行動力は、保護者が期待する以上に大きく育ってくるからだ。

そうした意味でも、筆者が400校近くの私学の先生方から話を聞いてきた経験から言うと、「クラブを6年間続けた生徒ほど、大学受験の結果もうまくいっていることが多い」という。

受験を終え、わが子が中学に進学したときには、ひとまず余裕を持って少しだけ距離を置き、新たな中学校生活を楽しんでいるかどうかを見守ってみてほしい。そうすれば、きっと日々、頼もしく成長していく、わが子の健やかな姿が見られるはずだ。

【初出:NettyLandかわら版2010年1月号】
(北 一成)

 

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ある男子校の入学式。これから楽しみな中高生活がスタートする!

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中学3年間のクラブ活動での最後の試合を終えて、仲間と一緒にくつろぐ。

2010年2月18日 (木)

思いを実現できる力 Jリーガー・前田遼一選手と母校・暁星サッカー部への期待

Jリーグの今期の得点王ランキングで現在トップを走っているのが、ジュビロ磐田の前田遼一選手。その得点能力に期待が寄せられ、ワールドカップが来年に迫った今年の日本代表チーム(岡田JAPAN)にも招集されている。この前田選手は、有名進学校でありながら、サッカーも全国レベルで活躍する暁星中・高の卒業生だ。

「ここでがんばって入学しておけば、6年間サッカーに集中できると思ったんです。勉強もちゃんとしたかったから、文武両道の暁星にしました」と、彼はかつて『進学レーダー』の取材に対して語ってくれたことがある。

当時、前田選手を指導し、現在も暁星のサッカー部監督を務める林義規先生は、このときの取材で彼について、「うちの部は朝練習があるんですが、彼は毎朝、6時15分には来てボールを蹴っていました。とにかく休まないし、熱心でしたね。勉強もきっちりして、成績も良かった。…」と話している。

暁星高サッカー部は前田選手が高2、高3の夏にインターハイ出場。慶應義塾大学への推薦が決まっていたが、Jリーグからの誘いを受け、高3の12月にジュビロ磐田入りを決意。

「Jリーグ選手になるのは、小学校のときからの夢でした。進学もしたくてぎりぎりまで迷いましたけど、どうせならとことんやってみようと決めました」と当時を振り返る。

高校在学時から注目され、U—18、U—19、U—20と年齢別の日本代表に選出。その後、何度か日本代表に招集されるが、怪我や不運で世界の第一線の舞台には出られなかった前田選手。しかし、日本人としては7年ぶりのJリーグ得点王獲得に向けて、いま活躍を続ける彼の姿は、28歳になった現在、もっとも輝いているように見える。

高校時代の林先生の言葉は、卒業してもよく覚えているという。

「お前たちは勉強もサッカーもがんばってきたんだから、自信をもてと言われました。最近思うのは、がんばれるというのも一つの才能だろうということ。中・高のクラブで覚えたことが、そんな考え方になっているのかもしれませんね」と前田選手は言う。

そうした彼の言葉は、サッカーや野球などのスポーツを続けてきて、いまは中学受験をめざす多くの小学生にとっての励みになることだろう。

こうしてOBの前田遼一選手が目立った活躍を見せる今年、冬の全国高校サッカー選手権大会の東京都予選で、母校・暁星高サッカー部も、現在(10月21日時点)までに、駿台学園、国学院大学久我山などの強豪を破り、Aブロックのベスト4まで勝ち進んでいる。あと二戦勝てば、東京代表として全国の舞台に立つことができる。

がんばれることも才能のひとつという考え方を身につけ、幼い頃からの思いを実現してきた前田選手。今年の暁星サッカー部にも、同じ思いでがんばってきた選手は多いに違いない。

本誌が発行後の11月28日の都大会A・Bブロック決勝で、東京代表チーム2校が確定する。暁星高サッカー部の健闘を願うとともに、OBである前田遼一選手のJリーグでの得点王獲得と、日本代表チームでのいっそうの活躍を期待したいと思う。

【初出:NettyLandかわら版2009年11月号】
(北 一成)

 

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前田遼一選手がインタビューに応えてくれている『進学レーダー』2003年2月号(みくに出版刊)。
本文の前田選手のコメントはすべてこのときのもの。

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2006年の第85回「全国高校サッカー選手権大会」に暁星は出場。今回出場権を勝ち取れれば、3年ぶり11回目の出場となる。

共栄学園中学女子バレー部が全国制覇! 城北高バレーボール部も東京都ベスト8まで進出

暑い夏が終わりを迎えたが、6~8月にかけて、スポーツに打ち込む多くの中高生は、それぞれの全国大会であるインターハイ(全国高等学校総合体育大会)や、全中(全日本中学校選手権大会)に向けて、日々の練習や試合に挑んでいく。ほとんどのスポーツでは、この時期がひとつの“ヤマ場”になるといえるだろう。

今年8月17日から20日まで大分県で行われたバレーボールの全中(第39回全日本中学校選手権大会)女子の部では、東京都から関東ブロック代表として出場した共栄学園が、みごと全国制覇を果たした。すでに強豪と言われてきた共栄学園の女子バレー部だが、今回の優勝は9年ぶり。関東大会の優勝に続く完全制覇だけに喜びはなおさら大きかったことだろう。

この共栄学園中高は、本誌『ネッティかわら版』6月号の「クラブ特集」バレーボール編でご紹介した、女子バレーボールVリーグ・NECレッドロケッツの澁澤夏美選手の出身校。全員バレーの力で伝統を築いてきた。

一方、全国大会ではないが、同じく本誌6月号でご紹介した城北高の男子バレーボール部は、夏のインターハイ予選で、東京都のベスト8まで進出した。その前に行われた関東大会予選では、ベスト16まで進出しながらも、12校の出場校を決めるところで、惜しくも紙一重の差で関東大会出場権を逃していただけに、その“ひとつ上の”成果を達成したことは賞賛に値する。

こうして、私立中高一貫校の運動部は、それぞれの目標に向けて、日々汗を流して努力を続ける。そのなかでいつくかの学校が目標を達成し、仲間とともに喜びをかみしめ、そしてまた次の目標に向かっていく。

そうしたなかで、本誌『ネッティかわら版』の「クラブ特集」でその活動を紹介し、私たちなりに声援を贈った私立中高一貫校が、こうして成果をあげているのを見ると本当に嬉しい。

引き続き本誌『ネッティランド』では、クラブ活動に打ち込み、「部活と勉強の両立」をめざす、全国の中高一貫生を讃え、応援していきたいと思う。

現在、編集部で取り組んでいるのは、そうした部活でスポーツに6年間打ち込み、そして大学受験も立派に成功させた大学生へのインタビュー取材。その特集は、おそらく本誌2010年1月号あたりで紹介できるはずだ。

そうした先輩たちの体験から、中高6年間をクラブ活動と学習の両面で充実させるヒントをつかんで、小学生諸君の励みや目標にしてほしい。

そして保護者の皆さんには、わが子が好きなクラブ活動に打ち込むことの意義と、心身にもたらす大きなプラス面をご理解いただきたいと思う。

中高一貫校に進学したら、何より「クラブ活動に打ち込もう」というのが、本誌のひとつの主張であり、多くの私立中高一貫校の先生方が望むことでもある。そうして充実した日々や成果と、かけがいのない思い出を得てほしいと思う。

【初出:NettyLandかわら版2009年10月号】
(北 一成)

 

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NECレッドロケッツ・澁澤夏美選手が在学していた当時の共栄学園中学校チーム(左から4人目が澁澤選手)。

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城北高校バレーボール部の「都大会ベスト8」の戦績は、私立進学校のなかでは目立った活躍だ。

2010年2月17日 (水)

70年ぶりの甲子園出場 関西学院が創立120周年に、再び野球部の「伝統を繋ぐ」快挙

全国の高校球児の“夢の舞台”として、今年も真夏の熱戦が繰り広げられた甲子園球場。この第91回全国高校野球選手権大会に、地元・兵庫県西宮市の関西学院高等部が70年ぶりに出場を果たした。

この関西学院は、1889(明治22)年、米国・南メソジスト監督教会の宣教師W.R.ランバス博士によって神戸に創立されたミッション校。

奇しくも創立120周年を迎えた今年、激戦の兵庫県大会を制して70年ぶりの甲子園大会出場を果たした関西学院だが、高校野球の歴史のなかでは、1917(大正6)年夏の第3回選手権大会で準優勝。1920(大正9)年夏には、第6回選手権大会を制して全国優勝を果たした経験も持つ。このときの決勝戦の相手は慶應義塾普通部だった。1928(昭和3)年にも第5回選抜大会(春)で全国優勝を成し遂げ、これまで通算出場回数12回を数える、堂々たる“古豪”である。

春の選抜大会には、1935(昭和10)年に5回目の出場。夏の選手権大会には、1939(昭和14)年に6回目の出場を果たしているが、この年以来、70年ぶりに関学ナインが甲子園の土を踏んだことになる。

今年も大会期間中シリーズで続けられてきた「熱闘甲子園」(テレビ朝日)の8月12日の放送では、この日の初戦、山形県代表の酒田南を相手に、みごと甲子園で「70年ぶりの1勝」を果たした関西学院の奮戦と、その応援に駆けつけた同学院の野球部OBや卒業生の喜びの声が伝えられた。なかには、70年前に甲子園出場を果たしたときのメンバーで、すでに87歳になるOBも甲子園に足を運んで声援を贈り、勝利の後には校歌をともに口ずさみ、涙を浮かべる様子が印象的だった。

8月17日の2回戦では、優勝した中京大中京(愛知)を相手に最後まで接戦を演じたが、9回裏、痛恨のサヨナラ本塁打を浴びて、惜しくも勝利を逃した関西学院。

それでも、スクール・モットーである“Mastery for Service(=奉仕のための練達)”の精神と、学院の伝統である「自由」を体現したような、みごとなチームワークと明るい雰囲気の全員野球で、最後まで観客を沸かせた関西学院ナインには大きな拍手が寄せられた。今回の甲子園出場と、そこでの活躍ぶりは、まさに同学院と野球部の「伝統を繋ぐもの」といえるだろう。

関西学院のほかにも、今大会では初出場を果たし、試合中も「笑顔」をモットーに爽やかなゲームを見せてくれた横浜隼人(神奈川)や、日本大学第三(西東京)、帝京(東東京)、聖望学園(埼玉)などの私立中高一貫校が、それぞれの「伝統を築き、繋ぐ」ような善戦を見せてくれた。

そうした私立中高一貫校のスポーツの伝統にも目を向けて“私学のカラー”を感じてみてはどうだろうか。

【初出:NettyLandかわら版2009年9月号】
(北 一成)

 

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2回戦では惜しくもサヨナラで敗れたが、堂々と校歌を歌う関西学院ナイン(テレビ朝日「熱闘甲子園」より)。

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アルプススタンドでは、大応援団が校章である新月(三日月)の人文字をつくり、選手たちを後押し。試合終了後、関西学院校歌「空の翼」の歌声が70年ぶりの甲子園に響きわたった

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関西学院高等部のWebサイトにも、甲子園出場を祝うニュースや、応援メッセージを掲載。120年の歴史の持つ伝統校の卒業生の多くが喜びに沸いたことだろう。

甲子園めざす球児の夏 夢をあきらめないことの大切さ

夏休みの風物詩といえば、高校野球の甲子園大会(全国高校野球選手権大会)。今年で第91回を迎える夏の甲子園大会では、4000校以上のエントリー校から、49の代表を決める地方予選が6月末から全国各地で行われ、この7月下旬がピークになっている。

そうした高校球児たちの“夏の戦い”が行われているこの時期、一方では、5月末から公開された高校野球映画『ROOKIES─卒業─』が、47日間で64万人動員というメガヒットの記録を更新したという。この映画は、もともと少年ジャンプに連載され、単行本1200万部の売り上げを記録した森田まさのり氏原作の漫画を昨年ドラマ化。人気を博した『ROOKIES』(TBS)のストーリーの続きを映画化したものだ。過去に試合中の乱闘事件を起こし、野球をあきらめかけていた都内のある高校の野球部のメンバーが、川藤幸一という新任の熱血教師と出会ったことで、もう一度甲子園をめざして歩みはじめるという物語だ。

佐藤隆太の演じる熱血教師・川藤幸一の口癖は「夢をあきらめるな!」と「お前たちの夢を応援したいんだ!」。

そんな教師が、野球をあきらめて荒れていた野球部員の心を再び揺り動かす。紆余曲折の末に、再び甲子園出場をめざして、ゼロから努力を開始する野球部のメンバー。一時期はグレて学園の厄介者だった野球部員の変貌に、少しづつ共感・協力者も現れる。そして舞台は甲子園の予選大会へ…。

『ROOKIES』のストーリーはここまでにするが、この作品の大ヒットの理由は、熱血教師・川藤が高校生に向けた「夢をあきらめるな!」というメッセージにあったのではないかと思う。

ところで、麻布や灘の毎年の説明会では、スライドなどで部活動の様子を紹介するときに必ず「本校の野球部は毎年甲子園をめざしてがんばっています。ただ今年も残念ながら予選の1回戦で敗退しました」といった冗談を飛ばして、保護者の笑いをとっていると聞く。また、開成が徹底した攻撃野球で、都のベスト16まで進出したのは、確か一昨年のことだった。何が言いたいのかというと、これほど著名な進学校であっても、硬式野球をやる以上は、甲子園をめざして努力し、その夢にチャレンジするのが、高校球児にとっては“当然のこと”だということだ。その姿勢そのものに価値があることを、全国の高校球児たちはわかっているに違いない。

その夢は、何も甲子園に現実に手が届く強豪校だけの特権ではない。いわば“ふつうの進学校”の野球部が、各都道府県のベスト8や16をめざして勝ち上がることも、エントリー校の多い野球では大変なことであり、十分に価値あることなのだ。

そして、自分たちにとっての“甲子園をめざした”夏や春の戦いを節目に、私立中高一貫校の球児たちは、気持ちを切り替えて、もうひとつの目標である大学受験の準備にスパートをかけていく。大事なのは、ここでも決して「夢をあきらめない」ことだろう。

だからこそ、高校球児には全員、「夢をあきらめずに」それぞれの甲子園をめざしてほしいと思う。

【初出:NettyLandかわら版2009年8月号】
(北 一成)

 

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映画『ROOKIES-卒業-』の公式Webサイト。「映画やドラマと本物の高校野球は全然違うよ!」という人もいるが、何がこれほどのメガヒットを生んだ理由なのか、とても興味深い。

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毎年、甲子園をめざして多くの高校球児が熱戦を繰り広げる地区予選大会。

2010年2月15日 (月)

初夏の風を受けて海へ 中学生の手作りヨットが逗子湾を帆走

逗子湾に面した砂浜は約850メートルにおよび、夏の海水浴や、四季を通じてのマリンスポーツ、散策など多くの人々に親しまれている。

その逗子湾で、今年も5月から6月にかけて、逗子開成の中学生が自分たちの作った「手作りヨット」で海を帆走するという、同校の海洋教育の一環である恒例の実習が行われた。

取材に訪れたのは6月4日(木)。中学2年生をいくつかのグループに分けて、手作りヨットの進水式と帆走実習を5月から実施してきたが、最後のグループの実習が天候のため何度か延期され、この日ついに実施された。

逗子開成の海洋教育はつとに有名。ここで細かくは触れないが、同校の中高一貫教育の多彩なプログラムのなかでも中軸をなすものだ。また、逗子海岸に隣接する同校の海洋教育センターは、リゾートホテルのような外観と、そこで宿泊や入浴、ヨット作りもできる機能を持つ施設。目前に逗子湾の四季を眺望できる絶好のロケーションは、全国の私学でも珍しいものだ。

中学入学時から中2の春までかけて、各クラス7~8名のグループごとに、自分たちの手で作り上げてきた5艇のヨット。その船縁には製作にあたった仲間たちの名前が列記されている。

その学年の手作りヨットの進水式を兼ねて、毎年この時期に実施されてきたこの帆走実習。先輩たちが作ってきた代々のヨットも加えて、20数艇のヨットが、逗子開成の校章入りの帆を掲げて帆走する景色は壮観だ。わが子が海へ出る姿を見ようと海岸で見学する保護者も多く、この日も40名以上の母親が砂浜から海を見つめている。

スポーツを通して身につけられることは多いが、なかでもアウトドアの競技では、天候や風など自然の要素に逆らわず、うまく味方につけて乗り越える必要がある。ことに海上で競技するヨットやサーフィンなどは、まさに波風と向き合って、「心・技・体」を競う、究極のスポーツともいえる。

「ラグビーは少年を大人にする」という言葉がある。スポーツを通して、人生に必要な力を育てることができるという意味だろう。この逗子開成の海洋実習は、まさに「ヨットが少年を大人にする」という側面を持つという。

もちろん安全管理には万全の注意が払われているが、いったん海に出てしまえば、あとは自分だけの力で、時々の風をうまく使ってヨットを操り、沖に浮かべられた2箇所のブイを回って、海岸に戻ってこなければならない。海岸から見ると比較的ゆっくりしたヨットの動きも、実際に一人で帆走すると、かなり早く感じるという。

それを中学2年の生徒たちが、初めて成し遂げたとき、「少年が男の顔になる」と同校の先生方はいう。

6年間で体験できたことが、人生を生き抜く力や支えになり、仲間との絆や貴重な思い出となる。それが中高のスポーツの魅力だろう。

【初出:NettyLandかわら版2009年7月号】
(北 一成)

 

Zushikaisei01_3 逗子湾の風を受けて進む手作りヨット。午前中いっぱいかけて、一人が2~3周、この海を帆走する。青の50番台のヨットが、この学年の生徒の作ったものだという。

Zushikaisei04 帆走するのは一人でも、そのサポートは同じ班の仲間がしてくれるから心強い。救護班は先生とヨット部の部員が務める。

6年間の絆が作り出す、ひとつの“宇宙”全国アカペラ甲子園…ハモネプリーグでの、私立中高一貫校出身の女性合唱チーム「μ(ミュー)」の活躍

アカペラによるハーモニーで、「歌唱力+一体感+個性」を競う「全国アカペラ甲子園……ハモネプリーグ2009」の第7回決勝大会が、4月21日にフジテレビで放送された。

果たしてアカペラはスポーツの部類に入るのだろうか? という疑問もあるが、「甲子園」と題されているので、ここでは良しとしておこう。

今大会で優勝の栄冠に輝いたのは、決勝大会の常連となっていた、東京代表の「Bam B Crew」。抜群の歌唱力を持つボーカルのリードする学生チーム。しかし、ここで注目したいのは、全国513の参加チームから決勝に残った3チームのひとつ、「μ(ミュー)」というチームと、そのプロフィールだ。

“神戸のセレブ女子大生”という触れ込みの、今大会最多人数という女性8名構成の兵庫県代表コーラスグループ「μ(ミュー)」のメンバーは、いずれも兵庫県のある私立女子中高一貫校の合唱部出身。ともに6年間がんばってきた仲間たちによるチームだという。

この日、6チームづつA・B・Cグループに分かれての計18チームによる予選では、平原綾香「Jupiter」を歌い、Bグループ最高得点で決勝リーグ進出を決めた「μ(ミュー)」のメンバー。舞台を降りたあとには、応援にきていた仲間とも抱き合い、決勝進出の喜びを分かち合っていた。

惜しくも優勝はならなかったが、決勝リーグでは、鬼束ちひろ「月光」を歌い、Aグループの「Bam B Crew」、Cグループの「A-Z(アズ)」と競い合った「μ(ミュー)」。

「6年間で培ってきた、強い絆が織り成すハーモニー」というアナウンスに送られて彼女たちが歌い出すと、観客席も審査員席も水を打ったように静まり、その歌声に惹き込まれる。

「いままで見たなかで、これほど全員が完全にひとつになっているチームは見たことがない。そこに宇宙がありました」、「ボーカルのソロパートで会場全体が息を飲み、そして女性の声なのにとても音域が広く美しい歌声に、時が止まるような印象を受けました」と審査員からも感嘆の声が聞かれるほどの、メンバー全員の息の合ったハーモニー。これもやはり、中高の6年間で互いを理解し合った仲間たちならではの、確かなチームワークのなせる技だろう。

今大会を見て強く感じたことは、合唱もアカペラも、どんな音楽でも、人が真剣に打ち込むことで、聞く人、見る人に感動を与え、喜びをともにすることができるという意味で、スポーツとまったく同じ、ということだ。

たとえば中高の部活では、合唱部はいわゆる「文化部」に属するのがふつうなのだろうが、だからこそ今回の「アカペラ甲子園…ハモネプリーグ」の話題は、どうしてもこの「Sports」欄で紹介したかった。さて兵庫県の私立女子校…どこなのだろうか?

【初出:NettyLandかわら版2009年6月号】
(北 一成)

Sports04_2  動画配信サービス『フジテレビ On Demand』にある「青春アカペラ甲子園…ハモネプリーグ」のサイト。出場チームの楽曲の視聴やダウンロード購入もできる。受験勉強の合間に、こうした歌声で癒されたり、励みにもできそうだ。もしも合唱部に入りたいと思っていたら、なおさら一度、聞いてみる価値があるかも?

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Sports03_2 4月21日(火)にフジテレビで放送された『全国アカペラ甲子園…ハモネプリーグ2009SP』決勝での「μ(ミュー)」の熱唱。大学生・高校生を中心とした513チームが今大会に出場。ほかにも立命館慶祥高校の男女混声チーム「札幌スピッカーズ」の爽やかな歌声が印象的だった。

2010年2月12日 (金)

早慶レガッタ 私学の両雄が競う“晴れ舞台”で育まれるもの

春のうららの隅田川、のぼりくだりの船人が……、の歌詞で始まる「花」(滝廉太郎作曲。武島羽衣作詞)は、日本人にはよく知られる名曲だ。その隅田川で行われる春の風物詩のひとつ「早慶レガッタ」が、今年も4月19日(日)に開催された。野球の早慶戦に次いで1905(明治38)年から開催されてきた、このボート対抗レースは、今年で第78回を迎えた。

メインレースである「対抗エイト」は、14時50分に両国橋をスタートし、浅草の桜橋のゴール地点まで3000メートルを、ほぼ10分ほどで漕ぎ抜く激しいスピードレース。今回は中盤の競り合いから残り1000メートル付近でリードを奪い、逃げ切った慶應義塾大学が、4年ぶりに勝利を飾った。

青空に爽やかな風が吹く日曜の午後、隅田川の水しぶきを浴びながら進む両校のボートとクルーには、多くの人が観戦する両岸から熱い声援が飛ぶ。ゴール直前の桜橋のふもとには、両大学の応援団が陣取り、陸上でもダイナミックな応援合戦が繰り広げられていた。

プログラムの最終レース「対抗エイト」のスタートを待つ14時過ぎからは、両大学の応援合戦が佳境に入る。校歌に続いて応援歌、チアリーダーの演技、エール交換など、周囲の観客も引き込むような熱い応援が交互に行われ、声援も歌声もますます大きくなる。

「紺碧の空、仰ぐ日輪……」で始まる早稲田大学の応援歌『紺碧の空』と、「陸の王者、慶應……」のフレーズが有名な慶應義塾大学の応援歌『若き血』は、この早慶戦の歩みとともに多くの人に親しまれてきたもの。

両大学の学生・OBをはじめ、川岸で観戦する多くの人にも、一段と大きな声援を喚起するかのように春の隅田川に歌声がこだました。

両チームとも全力を出し切ったレースの後、勝って喜ぶ慶大クルーには一段と大きな拍手と声援が寄せられたが、負けた早大クルーにも同じく拍手と「よくやったー!」という激励の声。

こうした母校の選手たちのがんばりに声援を送り、ともに校歌や応援歌を歌うなかで、両大学の学生は、貴重な思い出と愛校心を育んでいくのだろう。

競技に挑む選手や、応援席の両大学生だけではなく、周囲で観戦する多くの人々にも爽やかな感動を与えてくれる、こうした伝統の対抗戦は、無形の価値あるものだろう。その伝統を築いてきたのは、さすがに“私学の雄”といわれる両大学ならではだ。

こうした楽しい伝統行事があることは、早稲田、慶應義塾の付属中高を志望する中学受験生とその家族にとっても、また、首都圏や全国の中高一貫の進学校から両大学への受験~合格をめざす中高生にとっても、ひとつの励みとなるに違いない。

【初出:NettyLandかわら版2009年5月号】
(北 一成)

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東京・隅田川で毎年4月に行われる「早慶レガッタ」は、春の風物詩ともいわれる。

  

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レース終了後のエール交換では、全力を出し切った母校の選手たちだけでなく、相手校の選手にも大きな声援が贈られた

  

  

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メインの「対抗エイト」を制した慶大クルーは応援団に手を振って声援に応え、勝利の喜びを共にする。

春高バレーへの伝統を築くもの、繋ぐもの 第40回「春高バレー」に駿台学園と早稲田実業が出場!

この春にも、高校野球の「春の選抜優勝大会」の開催と時を同じくして、第40回全国高等学校バレーボール選抜優勝大会(通称「春の高校バレー」)が、3月20日(金)から3月26日(木)まで、国立代々木競技場・第一体育館で開催された。

今大会には、男子の東京都代表として、私立中高一貫校である駿台学園(東京第一代表)と早稲田実業(開催地代表)が出場。とくに今回の男子は、東京から前年度優勝校の東亜学園高、第一代表の駿台学園、第二代表の東洋高、開催地代表の早稲田実業と、計4校が出場できるという好機となった。

この4校の都代表校のうち東亜学園高は、5年連続25回目の出場。前年、前々年のこの大会で、全国“二連覇”を達成し、昨年夏のインターハイでは愛知県代表の星城高に決勝で敗れたものの、2年間で4度の全国制覇を成し遂げるなどの実績を残してきた。東洋高は2年連続18回目の出場という、全国的にも知られた古豪だ。一方、駿台学園は4年連続7回目の出場という、まだ新進気鋭ともいえる強豪校。早稲田実業は3年連続6回目の出場となるが、4回目の出場となった2007年の第38大会へは、何と29年ぶりの出場という“復活劇”を見せて、久々に全国の舞台に返り咲いた注目校である。

こうして、高校生バレーボーラーにとっての全国の舞台で、いま「新たな伝統を築きつつある」駿台学園と、かつてあった伝統を「再び繋ごうとする」早稲田実業が、今大会でどこまでの活躍を見せてくれるか楽しみだ。

とくに駿台学園は、今大会でチームの中心となっている2年生、1年生が駿台学園中学時代には、ともに全国大会で3位入賞、この4月に入学してくる新高校1年生は中学時代に全国優勝を成し遂げているだけに、この先の活躍も大いに期待できる中高一貫体制の強豪チームだ。

一方、女子では、共栄学園(第一代表)、下北沢成徳(第二代表)、八王子実践(開催地代表)の強豪3校が東京都代表として今大会に出場。優勝をめざす。女子バレーでは中高ともに、毎年、全国大会の上位まで進出している私立中高一貫校が多く、こちらも活躍が楽しみだ。そのほかにも、男女ともに全国の都道府県から今大会に代表として出場している私立中高一貫校が多く、注目したい学校はいくつもある。

野球やサッカーなどと比べると、最近では人気が下がっているといわれるバレーボールだが、この「春の高校バレー」は、テレビ放映もあり、注目度の高い大会だ。何よりこの大会は、まだ高校2年、1年生が中心の3月に行われることから、高3生の最終目標となる夏のインターハイより手前の目標、つまり「道の途中=オン・ザ・ロード」にあるということも、大会の雰囲気を明るくしている要因だろう。そういえば中学受験にも、「合格オン・ザ・ロード」というイベントがある。多くの高校生バレーボーラーにも、それぞれの目標に向けて、この道を力強く前進してほしいと思う。

 

【初出:NettyLandかわら版3・4月号】
(北 一成)

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第40回「春の高校バレー」東京都予選の準決勝。駿台学園は早稲田実業をストレートで破って決勝に進出。同時に本大会への出場を決めた。

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都大会決勝では東洋高校をフルセットの末に下して「春高バレー」東京都第一代表としての出場を決め、大会への決意を新たにする駿台学園チーム。

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